映画祭におけるノミネートや受賞が宣伝にもたらす効果は?

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つい先日、10月23日に第27回東京国際映画祭が開幕した。華やかなオープニングイベントで開幕し、10月31日までの間に多くの作品が上映され、コンペティションにおいて最高賞の東京グランプリを含めた各賞が発表される。

本映画祭含めた世界各地で開催される映画祭の各賞は、インデペンデント作品、メジャー作品ともクリエーター・プロデューサーの功績をたたえるものであるとともに、作品の名前をより広く浸透させる大きなチャンスである。
そこで、近年の日本映画にとって、海外の映画祭でのノミネートや受賞が映画宣伝においてどのような効果があるのか、テレビでの番組内露出量を軸に整理した。

以下の図は、2010年以降に公開された主だった日本映画につき、横軸に公開規模(スクリーン数)、縦軸に公開前から公開後4週目までのテレビでの番組内露出量をとったものである。

 

【画像】日本映画の公開規模と番組内露出量

<集計対象作品>
・2010年1月1日~2014年10月18日の間に公開された作品
・弊社CATSレポートのモニタリング対象(※)作品
 ※100スクリーン以上公開映画
 ※100スクリーン未満かつ一定規模以上の配給会社作品
 ※あるいは公開前に映画祭等で上映・受賞したものなど
・上記のうち、公開規模が判明しているもの
<集計対象期間>
・作品ごと、公開後4週目まで
(10月18日時点で公開4週目となっていない作品については、10月17日までの露出量を集計)

オレンジ色の点()は、海外での映画祭でノミネート・受賞が確認できた作品であり、紺色の点()はできなかったものである。それぞれに近似線を参考に引いた。

 

はっきりとわかるパブリシティ効果

こうしてみるとまず、映画祭でのノミネート・受賞のパブリシティ効果がはっきりとわかる。作品公開規模に対して番組内露出量が多くなっている。

最近の作品では、たとえば、吉永小百合企画・主演の『ふしぎな岬の物語』はモントリオール世界映画祭で審査員特別賞グランプリ、エキュメニカル審査員賞を受賞し、同規模の作品よりもテレビ番組内露出量が多めである。また、もっとも露出量が多いのは、カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した『そして父になる』である。

公開規模が小さいものでは、映画祭関係作品で露出量が多かったものとして『キャタピラー』『東京公園』『パレード』『希望の国』など、比較的作家性の高い作品も含まれている。

なお、本データは公開後5週目以降の番組内露出は集計対象となっていないことに留意いただきたい。たとえば、『風立ちぬ』の公開後5週目以降に発表された各賞ノミネート・受賞関連報道はカウントされていない。

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