映画祭受賞動員の弾み(毎日新聞夕刊映画欄から転載)

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(この記事は2014年10月31日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載されたものです)

【週末興行成績 10/25、26日】
<1>(1)近キョリ恋愛                      3週目
<2> − ヘラクレス                        1週目
<3> − イコライザー                       1週目
<4>(2)ふしぎな岬の物語                    3週目
<5>(5)映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ  3週目
<6>(3)グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札          2週目
<7>(4)るろうに剣心 伝説の最期編               7週目
<8> − 小野寺の弟・小野寺の姉                  1週目
<9>(6)蜩(ひぐらし)ノ記                   4週目
<10>(8)STAND BY ME ドラえもん          12週目

(右の数字は前週順位。興行通信社調べ)

 世界各地で開催される映画祭の各賞は、インディペンデント作品、メジャー作品ともクリエーターやプロデューサーの功績をたたえるとともに、作品の名前をより広く浸透させる大きなチャンスである。日本映画がノミネートされたり受賞したりすると、公開規模に対して大量の宣伝露出があり、動員の弾みとなることが多い。
例えば4位に入っている、吉永小百合企画・主演の「ふしぎな岬の物語」は、カナダ・モントリオール世界映画祭で審査員特別大賞とエキュメニカル賞を受賞した。その報道によって公開前の期待度は大きく上昇し、力強い出足となった。2週目に入って動員が前週比で大きく落ちたのは、公開日に向けて話題が沸騰したことの反動かもしれない。
31日が最終日の第27回東京国際映画祭では、年末公開の「ベイマックス」が開幕作品となり、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ、ピクサー・スタジオ、ディズニートゥーン・スタジオのチーフクリエイティブ・オフィサーであるジョン・ラセターが来日。多くのメディアでとりあげられた。2011年の同映画祭で最高賞を受賞した「最強のふたり」が、日本で公開されて最終興行収入17億円となった実績もあり、今年もヒット作が生まれることに期待がかかる。

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

◆掲載元◆
毎日新聞: シネマの週末・データで読解 「映画祭受賞動員の弾み」 (毎日新聞2014年10月31日 東京夕刊)

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