大ヒット『暗殺教室』の鑑賞者を分析

Pocket

大ヒットスタートした『暗殺教室』は、女性の鑑賞意向が高く、特に10代女性が中心となっていました。その10代女性の映画鑑賞行動の特性につき、先日発表したGEM映画白書2015のデータをもとに掘り下げました。
(以下の記事は2015年3月27日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載されたものです)
【シネマの週末・データで読解:週末興行成績(21、22日)】毎日新聞 2015年03月27日 東京夕刊
1. (ー) 映画 暗殺教室(1週目)
2. (1) 映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記(3週目)
3. (ー) ナイトミュージアム エジプト王の秘密(1週目)
4. (2) イントゥ・ザ・ウッズ(2週目)
5. (3) ストロボ・エッジ(2週目)
6. (ー) スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号(1週目)
7. (5) 風に立つライオン(2週目)
8. (4) 映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪(2週目)
9. (6) アメリカン・スナイパー(5週目)
10. (7) ソロモンの偽証 前篇・事件(3週目)

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ

『映画 暗殺教室』

(C)2015 フジテレビジョン 集英社 ジェイ・ストーム 東宝 ROBOT
(C)松井優征/集英社

10代女性に爆発的ヒット

Hey!Say!JUMPの山田涼介が主演した「暗殺教室」が初登場1位を獲得し、土日2日間で35万人以上を動員、興行収入4億円を超える大ヒットスタートを切った。「週刊少年ジャンプ」連載漫画の実写映画化で、劇場鑑賞者と観賞したい層は若い女性、特に10代が中心である。
昨年末、3万人に向け実施したアンケート調査から、女性10代の映画鑑賞行動における特徴を挙げると、「友人と2人で」映画館に行く割合が圧倒的に高い。また、映画に求めるものは、「周囲との共通の話題、付き合い」である。人に誘われて映画を見ることが多く、事前に情報収集は特にしないが、見たくなったらなるべく早く見たい。周囲に直接、あるいはネット上でクチコミする割合も高い。火がつけば加速度的に周囲を巻き込むことになる。10代女性をターゲットにした作品が、事前の調査結果に対して興行成績が爆発的に大きくなる例では、こういった要因が働いているのであろう。
本作の意欲層は公開日に向けて女性20〜40代にも急速に広がった。客層の広がりというだけでなく、母子での鑑賞にもつながっている可能性がある。過去の作品と比べて傾向が似ているのは「ホットロード」「謎解きはディナーの後で」など。いずれも大ヒットしており、加速度的に広がる女性10代を押さえつつ、広範囲の年齢層を動員するという成功のひとつのパターンといえる。

(梅津文・GEM Partners代表)=毎月最終金曜日掲載

◆掲載元◆
毎日新聞: シネマの週末・データで読解 「10代女性に爆発的ヒット」 (毎日新聞2015年3月27日 東京夕刊)

『映画 暗殺教室』
2015年3月21日(土)、全国東宝系にてロードショー

GEM映画白書2015についてはこちらをご覧ください。

関連記事