Variety誌主催「The Entertainment Marketing Summit」レポート


アメリカのエンターテイメント業界紙「Variety」主催、映画マーケティング関係者向けカンファレンスの様子をレポートします

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先日(4月10日)ロサンゼルス市内で開催されたVariety誌主催の映画のマーケティング関係者に向けたカンファレンス(MASSIVE:The Entertainment Marketing Summit)に参加してきました。

内容は、広告主、スタジオ、放送局、デジタルメディア、新しいテクノロジー企業などの間でのビジネス及び新しいアイデアに特化し、各社のマーケティング担当者によって映像エンタテイメント業界における革新的なアイデアや成功例について発表・意見交換がなされることを目的にしたものです。

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一日の間に、映画プロデューサー、ハリウッドメジャースタジオのマーケティング担当者、hulu、Facebook等の配信・ウエブメディア関係者、新しいマーケティング手法を可能にするITベンチャー関係者など多岐にわたる方々によるプレゼンテーション及びパネルディスカッションありました。内容は、ソーシャルメディアでのマーケティングや新しい技術を活用したプロモーション施策の成功例と課題、ヒットコンテンツのマーケティング手法を主軸に、8つのセッションがありました。

(詳細アジェンダはこちら http://events.variety.com/massive-agenda/)

その中で繰り返されたキーワードとして特に印象に残ったのは、

Digital marketing
Multi-cultural marketing
Millennials

の3つです。

Digital marketingについて

ほとんどのセッションがデジタルマーケティングにかかわる内容で、パネラーには日本でもおなじみのFacebookだけでなく、PinterestTumblrからもパネラーがいました。YouTuber(ユーチューバー)がいかにマーケティングにおいて力を持っているか、それをどう生かすか、そして動画キャンペーンに関する成功例などをテーマにしたプレゼンも数多くありました。また、現時点でも日本ではあまり浸透していないSnapchatについても何度も言及がありました。

Digital marketingは日本の映画マーケティングでも期待が高いテーマではありますが、メディア環境が異なることもあって、アメリカでは日本よりも多彩なメディアが映画マーケティングにおいて実践的に活用され、効果を出している様子がうかがえました。

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Multi-cultural marketingについて

Multi-cultural marketingに関しては、特に『Furious 7』(邦題『ワイルド・スピード SKY MISSION』)のヒットもあって、様々なバックグランドの人種・カルチャーのキャストをメインにした作品とマーケティングの仕方についても多くの時間が割かれていました。また、海外ドラマの『Empire』(邦題『Empire 成功の代償』)がこの数年で最高の視聴率だったことにも何度も触れていました。

日本の中だけを見ているうえではなかなか実感のわかないテーマではありますが、アメリカと日本のヒットの仕方の違いを分析する上でのヒントになりそうです。

Millennialsについて

最後のMillennialsとは、1980年代から90年代ないし2000年代生まれの幼少期からインターネットが普及していてデジタル化された生活に慣れた世代のことですが、これに関しても多くセッションでも言及がありました。Digital marketingの重要性と裏表のテーマということもあるでしょう。

「どう若者の心をつかむのか」という、どんな消費財においても共通のテーマではありますが、アメリカにおいては日本よりもこの課題のインパクトが大きいと感じました。というのは、日本とアメリカの人口構造の違いです。以下は国連発表の2015年の人口推計のデータをもとに日本、アメリカ、世界の人口構造を整理したものです。

世界の人口ピラミッド(2015)

日本は壺型、アメリカは釣鐘型、世界はピラミッド型ですが、世代ごとに内訳をみると、日本の人口において、24歳以下が占める割合は22%ですが、アメリカの場合は、33%。一方で50歳以上の場合は、日本は45%、アメリカは34%。さらに60歳以上についていえば、日本は33%、アメリカは21%。

こうしてみると人口構成の違いが明らかですが、例えば、アメリカでの24歳以下の占める割合と日本の60歳以上が占める割合は同じです。

日本においても未来の映画鑑賞者人口のことを考えれば若者の確保は大事なテーマですが、人口構造を考えれば本気でシニアを狙って市場を開拓していくことにも大きなポテンシャルがあります。

また、ハリウッドにとって「アメリカ国外」からの興行収入は無視できない大きさになっているといわれて久しいですが、世界の人口構造はアメリカ以上に若者によっています。世界においては24歳以下が42%、50歳以上が22%、60歳以上は12%です。

世界の映画工場のハリウッドが作る映画の、日本における意味合いも今後ますます変化するだろうと感じました。

上記はもっとも印象的だったことのハイライトですが、セッションは興味深い内容が盛りだくさんでしたので、今後いくつかのテーマをピックアップしていこうと思います。

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