「コナン」興収の謎

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(この記事は2016年4月22日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載されたものです)
【シネマの週末・データで読解:週末興行成績(16、17日)】毎日新聞 2016年4月22日

1. (ー) 名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)
(3週目)
2. (ー) 映画 クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃
(1週目)
3. (1) 映画 暗殺教室 −卒業編−
(4週目)
4. (2) 映画ドラえもん新・のび太の日本誕生
(7週目)
5. (3) バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生
(4週目)
6. (4) ちはやふる-上の句-
(5週目)
7. (ー) スポットライト 世紀のスクープ
(1週目)
8. (6) アーロと少年
(6週目)
9. (5) 僕だけがいない街
(5週目)
10.(7) 仮面ライダー1号
(4週目)

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ

「コナン」興収の謎

(C)2016 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

(C)2016 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

先週末は、テレビアニメ「名探偵コナン」の劇場版「名探偵コナン」が動員ランキング1位を獲得。興行収入は12億円を記録する大ヒットのスタートとなった。
劇場版「コナン」は毎年公開されている。特筆すべきなのは、最終興収が2011年以降、31.5億円→32.9億円→36.3億円→41.1億円→44.8億円と毎回、前年から伸びていること。今年の公開週の興収は前年比38%増で、再び記録を更新するとみられる。そこで、毎年興収が拡大する「謎」を推理してみよう。
こうした人気アニメシリーズは子供のころに見ていても、成長とともに「卒業」するので、同じ年代のファン層を獲得して市場規模を維持していく。しかし、「コナン」はこれまでの鑑賞意欲層をみると、かつての男女10代中心から、10代だけでなく20代へと広がっている。新しい「入学」ファンを獲得するとともに、「在学」中のファンがそのまま卒業せずに残り、また「卒業生」も再び劇場に足を運びたくなる訴求力を高めていることがうかがえる。今年は、原作でも謎に包まれている「黒の組織」の内情の一部が明らかになることもファンに訴求したとみられる。
ビジネスにおいて売り上げを毎年拡大するのは並大抵のことではない。「コナン」はたぐいまれな事業力を持つ“黒(字)の組織”級の快挙といえよう。

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

◆掲載元◆
毎日新聞: シネマの週末・データで読解 「「コナン」興収の謎」 (毎日新聞2016年4月22日 東京夕刊)

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