再起動映画化が快進撃(毎日新聞夕刊映画欄から転載)

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『るろうに剣心 伝説の最期編』

(※2014年9月26日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載されたものです)

 「るろうに剣心」シリーズ第3作「伝説の最期編」が2週連続1位であった。公開中の第2作「京都大火編」も興行収入50億円を突破した。2012年に第1作が興収30億円を上回るヒットとなったが、続編はそれをはるかに超える。
「るろうに剣心」は1990年代に「週刊少年ジャンプ」で連載された人気漫画で、同時期にアニメ版も放映された。12年からの実写版は旬のコンテンツの映画化というより、「リブート(再起動)」映画化のヒットと更なる拡大という快挙だった。
その要因は、原作ファンと男性に訴求する本格的アクション、女性に訴えかける人気・実力を兼ね備えた俳優のキャスティング、そして幅広い層にアピールする映像の斬新さにあるのではないか。第1作からのスケールアップの期待も高かった。鑑賞意向調査では第1作でも、男性20~30代の原作ファン層を超えて、男性10、40代、女性10~50代と幅広く意欲を喚起していた。「京都大火編」「伝説の最期編」はどの世代も意欲度がさらに上がり、低めだった男性50、60代にも広がっている。
リブート映画化のヒットは最近の傾向で、『STAND BY ME ドラえもん』『ホットロード』『ルパン三世』と、いずれも興収数十億円。日本映画の新たな境地を切り開いたともいえる「るろう」の快進撃はしばらく続きそうだ。

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

◆掲載元◆
毎日新聞: シネマの週末・データで読解 「再起動映画化が快進撃」 (毎日新聞2014年9月26日 東京夕刊)
(C)和月伸宏/集英社(C)2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会

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