夏の映画興行の分析

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梅雨の時期ながら6月も下旬に差し掛かり、そろそろ書き入れ時の夏興行に向けた作品の公開がスタートする時期となった。
そこで今回は、過去の夏興行を振り返りつつ、今年の夏興行の現時点での見込みについて整理したい。

2010~2014年夏興行を振り返る

まず、過去の各年の夏興行の推移を、最終興行収入ベースで、実写・アニメ、洋画、邦画別に集計した。集計対象作品は6月最終週末から8月3週目ないし4週目までの9週間の間に公開された作品である。
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通年の興行収入を左右する夏興行は、いい年も悪い年もあった。
2010年は、まさに盛夏、その年の興行収入合計も2200億を超えて2000年以降最高記録となったが、その大きなドライバーとなった夏で、100億級の作品がアニメ・洋画『トイ・ストーリー3』(108億)、アニメ・邦画『借りぐらしのアリエッティ』(93億)、『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』(73億)と続出した。
変わって2011年は実写・洋画に「ハリー・ポッターシリーズ」最終作『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 2』(97億)があり、『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』(43億)がこれに続いたものの、全般的にどのカテゴリもほかの年と比べて大きく数字が伸びなかった。
2012年は実写・邦画が大きな値となっているが、これは『BRAVE HEARTS 海猿』(73億)に続き、『るろうに剣心』(30億)や『あなたへ』(24億)、『へルタースケルター』(22億)など、豊作の年であった。
2013年はアニメが全体的に伸びているが、これは『風立ちぬ』(120億)、『モンスターズ・ユニバーシティ』(90億)によるもの。実写・洋画は粒ぞろいと言われたが、もっとも大きな興行収入になったものでも21億(『ローン・レンジャー』)と、全般的に数字が低めとなった。実写・邦画もトップの『真夏の方程式』『謎解きはディナーのあとで』で30億台と、一作品で50億を超えるものがなかった。
2014年は逆に実写の豊作の年。洋画は『マレフィセント』(65億)に、『GODZILLA ゴジラ』(32億)、『トランスフォーマー/ロストエイジ』(29億)という30億級の作品が続いた。邦画は『るろうに剣心 京都大火編』(52億)があり、『ホットロード』(25億)がこれに続いた。アニメ・邦画は『STAND BY ME ドラえもん』(84億)、『思い出のマーニー』(35億)が市場をけん引した。
このように、いずれかのカテゴリに50~100億級の作品が一つ以上あり、それに30億級作品がどれくらい続くかということが、盛夏か冷夏の分かれ目となっている。

2015年夏の公開作品はどうか

それでは今年はどうか。
(C)2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS

(C)2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS

夏の公開作品(上記と同様6月最終週末から数えて9週間の間/2015年6月27日~2015年8月22日の週末に公開される各作品)が、2015年6月13日現時点で何億ペースで推移しているかを整理した。
※各作品の認知度、意欲度等の値が過去の同種の作品と比較しどの程度と言えるのか(公開週末土日ベース)をシミュレーションし、その値に、過去類似作品が週末土日興行収入に対して最終興行収入が何倍になっているか、という伸び率の平均を乗じた。
その結果をランク付けすると以下のとおりとなった。

1. バケモノの子
2. ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション
3. ターミネーター:新起動/ジェニシス
3. ジュラシック・ワールド
5. アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
6. ミニオンズ
7. インサイド・ヘッド
8. ポケモン・ザ・ムービーXY「光輪(リング)の超魔神 フーパ」
9. BORUTO(ボルト) -NARUTO(ナルト) THE MOVIE-
10. 映画 HERO

上位作品について触れると、1位の『バケモノの子』は、同じスタジオ地図の『おおかみこどもの雨と雪』は、公開週末土日に対して11.6倍と大きく伸びているが、同じ伸び率を適用している。「バケモノ」が「おおかみ」をスタートも最終も上回るか注目される。
僅差で2位となった『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』以下には『ターミネーター:新起動/ジェニシス』等洋画が続く。「ミッション」「ターミネーター」ともに人気シリーズかつ日本では認知度・好感度ともに高いキャストの来日も予定されているので、今後どんどんペースアップすることを期待したいところ。『ジュラシック・ワールド』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』ともに全世界で記録的ヒットとなっていて、日本でも同様に興行が湧くことに期待がかかる。

これらの作品のシミュレーション値をみると、30~40億級と計算される作品が数多くあり、実写・洋画は昨年並みが視野に入るペース。シミュレーション値は、あくまで現時点の数値を、過去の類似作品と比較した場合のものであり、過去類似作を上回るペースで意欲度・認知度が伸びていく可能性は高い。
一方、実写・邦画は現時点で30億が堅いといえるものがない。ただ、邦画は宣伝展開のペースが作品によって異なる度合が洋画以上に高く、大きくペースアップする作品も多い。10位の『映画 HERO』に続くのは『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』だが、これらはそれぞれ6月13日時点でまだ5週前、7週前なので、今後、話題度が加速度的に上がることに期待したい。
2010年を超える盛夏となることを期待しつつ、秋も深まり結果が出たころに夏の振り返りをしたい。
 

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