2012年の年間興行収入データを深掘り:前年比増加の内訳


執筆:梅津

先日、映連によって2012年の映画産業に関するデータが発表され、2012年の年間興行収入、邦画洋画の内訳、10億円以上の興行収入を上げた作品が公開されました。

これをみると「2012年の年間興行収入は前年より増加した。そして、邦高洋低の傾向はますます進んだ」と言う点がポイントだと言えそうです。
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・2012年の年間興行収入は1952億、前年比140億増・107.7%。
・邦画と洋画の比率は、それぞれ65.7%, 34.3%(前年は54.9%、45.1%)
  邦画が1281億円、前年比287億円増・128.8%
  洋画は670億円、前年比147億円減・82.1%
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2011年の年間興行収入は前年から大きく落ち込んだことを考えると(2011年の減少の原因分析はこちら)、少し前向きな結果となりました。邦画VS洋画という点で見ると、洋画の減少分を打ち消す勢いで邦画が増加し、全体で140億増となりました。

一方、東宝をはじめとする邦画の快進撃が続いたこと以外で2012年話題となったのは、アニメ映画のヒットと映連統計にも含まれるようになったODS(非映画コンテンツ)の可能性です。

“アニメ”と”ODS”は年間興行収入140億増にどのように貢献したのか?推計したのが以下の図です。
(単位:億円)

ODSの伸びは21億分貢献しました。絶対額も伸びも全体に占める額は小さいです。しかし6億という市場がほぼ存在しなかったところから、5倍近くの27億まで増えています。ODSコンテンツには映連の統計に含まれない「中継」があり、それが20億。トータルで約50億の市場です。ODSコンテンツの種類は様々ありますが、「DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on」が3億超えなど数億稼ぐものもあったことが伸びを牽引したものと見られます。

目につくのは、アニメの71億増加です。年間増加分140億の半分にあたります。
2012年のアニメ上位作品といえば、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(53.0億)、「おおかみこどもの雨と雪」(42.2億)、「映画ドラえもん のび太と奇跡の島 ~アニマル アドベンチャー~」(36.2億)など。これを含めて10億以上のアニメは邦画洋画合わせて12作品。ただ、アニメでも邦高洋低の構図で、10億を超えた洋画アニメは「マダガスカル3」(20.5億)、「長ぐつをはいたネコ」(11.7億)、「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」(10.8億)のみです。

また、アニメはシリーズものが上位を占める中で、テレビアニメの新たな映画化、オリジナルアニメのヒットも前年比71億増に貢献したものと見られます。例えば「映画 けいおん!」(19.0億)、「friends もののけ島のナキ」(14.9億)は10億以上の結果を残しています。

それ以外でいえば、大手12社は微増に留まりました。全体興収の推移と同様に、洋画が減少した分を邦画が補い、若干プラスになったという構図です。それ以外の会社も増えています。いわゆるミニシアター劇場で公開される作品が主ですが、ヒットしたものでは2012年は「鍵泥棒のメソッド」(4.3億)、「闇金ウシジマくん」(3.1億)、「桐島、部活やめるってよ」(2.6億)などがあります。

この切り口での分析をまとめると、【去年と比べて2012年の興行収入が増えたのは、特にアニメの貢献度が大きい。それ以外では絶対額は小さいながらODSが高い伸び率だったことと、洋画の減少を若干上回る勢いで邦画が伸びた結果、140億増だった】といえます。

◆邦画VS洋画について補足
映連発表の数字を図にしたものが以下です。
(単位:億円)

東宝の6-700億は別格として、それ以外の主要配給会社の年間興行収入はざっくり100億前後であることを考えると、邦画は3社分程度増え、洋画は1社分強減ったともいえます。一方で、当たり年だった3年前の2010年「アバター」「アリス・イン・ワンダーランド」「トイストーリー」の最終興収がそれぞれ156億、118億、108億だったことを考えると、「巨大ヒット1,2作分」減ったともいえます。邦画・アニメ・ODSの勢いはそのままに、洋画の大きなヒット作がたくさん出ることで映画興行が活性化してほしいものです。

(データ出典:映連統計、文化通信。アニメの興行収入合計は、弊社調べ最終興行収入3億以上と見られる作品群の中からアニメ映画だけを集計したもの。「12社」は2012年、2011年ともに月別配給会社別興行収入が発表されている松竹、東映、東宝、ウォルト・ディズニー、ソニー・ピクチャーズ、東宝東和、パラマウント、ワーナー、20世紀フォックス、アスミック・エース、角川書店、ギャガ)

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