「ヘルタースケルター」ヒットまでの道のり~アスミック・エース豊島雅郎氏の講義録から

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執筆:梅津

アスミック・エースヒットの作り方①「僕等がいた 前篇・後篇」10代20代女性において、原作とキャストの人気がマッチからの続き
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「ヘルタースケルター」:ハンデが逆に功を奏した

【豊島氏】
蜷川実花さんの初監督作品「さくらん」のプロデューサーを務めた弊社の宇田が「ヘルタースケルター」の映画化権取得に動いたのは実は「さくらん」の企画以前だったのですが、その当時は「ヘルタースケルター」は承認が下りず「さくらん」の映画化を進めているうちに他社に押さえられてしまいました。ですが、3年ほど交渉を続けるうちに他社が権利を手放し、当社がWOWOWさんと共同で権利を取得することに成功し現在に至ります。
映画のコピーは「これは映画というより、事件」。主演の沢尻エリカさんの生まれながらのカリスマ性と蜷川監督の独特な世界観の掛け算により、2012年に運命の如く産み落とされた作品となりました。沢尻さんにドクターストップがかかって作品プロモーションに出られなかったことがかえって露出につながったという稀有な例です。
【梅津】
結果論ですが、トラッキングデータ的には理想的な数値の展開をしています。
映画は宣伝のための下地をつくるために、公開8週前に認知を上げておき、それから宣伝を行っていきます。「ヘルタースケルター」は沢尻エリカに関する「芸能活動再休止」の報道により、公開8週前に認知率が上昇しました。しかも、その露出が印象に残った結果、露出量に対して非常に効果的に意欲率・認知率等の数値が上昇しております。その後も断続的に露出が続き、公開直前にも数字が大きく伸びています。弊社ではウエブでの話題度も数字でモニタリングしていますが、昨年の11月までの1年間で公開された映画の中で公開12週前から公開までのネットニュース件数、検索件数、ブログ書き込み件数いずれの数値でもトップ10入りし、テレビだけでなくネットでの話題加熱ぶりも伺えます(ランキングはこちら
また、公開後の話題度も高く、本来、映画の最終興収は、公開週末土日興収の5、6倍に終わることが多いのですが、「ヘルタースケルター」は約10倍となっておりました。動員のペースが落ちずに、ヒットし続けた作品であると言えます。
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『のぼうの城』ヒットまでの道のり~アスミック・エース豊島雅郎氏の講義録から
(※「のぼうの城」は来週以降の更新を予定しております)
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『僕等がいた 前篇・後篇』ヒットまでの道のり~アスミック・エース豊島雅郎氏の講義録から
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