「アナ」快進撃 (毎日新聞夕刊映画欄から転載)

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(※2014年3月28日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載されたものです)

 2週連続1位のディズニーアニメ『アナと雪の女王』は、洋画アニメ史上最速で興行収入30億円を突破するヒットとなっている。今後『トイ・ストーリー3』(最終興収108億円)や昨年の『風立ちぬ』(同120億円)を超える可能性もある。データから、その裏打ちとなる要素を挙げてみよう。  まず鑑賞意欲度が、公開前からの勢いそのままに高まり続けていること。アカデミー賞長編アニメ賞受賞もさることながら、主題歌や吹き替えキャストなどの話題に、同様かそれ以上に強く反応した。公開が近づくにつれ、意欲度は「垂直立ち上げ」ともいうべき高まり方を示した。さらに公開後も、前週比動員が113%と勢いはむしろ増している。  もう一つは、年間鑑賞本数が少ないライト層の意欲が高いこと。すでに映画を超えた存在となっていることがうかがえる。「映画館に来るのは数年ぶり」という人を多数呼び込む可能性も高いとみる。内容からも、メインの意欲層となっている若い女性から、男性、あるいは上の年齢層への広がりが期待できそうだ。  アニメの世界興収ランキングで歴代1位となることはほぼ確実。今年の日本の映画市場を代表する作品の一つとなりそうだ。

(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載

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