『アナと雪の女王』が到達した山頂

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先週3月14日に公開された『アナと雪の女王』は、土日2日間で興行収入7億を超える大ヒットスタートを切った。2月の雪などの影響で落ち込んだ興行においては嬉しいニュースであろう。
そこで本作の公開に至るまでの数値の動きを振り返りつつ特徴について取り上げたい。

エルサのごとく駆け上がった意欲度と認知度

以下は、横軸に公開まで何週前かをとり、折れ線グラフで認知率、意欲率の動きを示したものである。
(それぞれの指標の数値を12週前を100として指数化したもの)

上記のとおり、いずれの数値も公開にむけて急激な右肩上がりになっていて、気持ちいいぐらいの伸び方であった。また、意欲率(オレンジ色)のあがり方が急激である。認知度の高まり以上に話題度・意欲度の高まり方に勢いがあったことが伺える。
劇中、「雪の女王」エルサが主題歌“Let it go”を歌いながら、山の麓から自分が作った氷のお城のてっぺんまで駆け上がっていくシーンがあるが、公開までの市場内の意欲度の動きはまさにそれを彷彿とさせる勢いである。
認知度を上げることも難しくなっている中、きっちり上げるのみならず、それを上回る勢いで意欲度がこれだけのびるケースは多くない。なお、認知度の高まりも12週前時点認知率13%から公開週は67%まで上がっていて、昨年の洋画認知度ナンバーワンだった『アイアンマン3』の公開週認知率の数値を超えている。

アカデミー賞だけじゃない大きな話題度作り

市場内の意欲度・認知度の高まりを支えたのは、作品の訴求内容を深く浸透させた断続的な話題作りであろう。以下は、横軸に公開まで何週前かをとり、各週のテレビ露出量とその中身を示したものである。

12~5週前時点から断続的に露出があり、下地作りがなされている。アカデミー賞長編アニメーション部門獲得の報道があったのは公開2週前から公開1週前時点の間だが、この時期を挟むようにイベント関連情報がテレビでとりあげられている(2週前時点、公開週)。
アカデミー賞はとることを前提にプロモーションがプランニングされていたかのようだが、一方で、番組内露出量全体におけるアカデミー賞関連報道の割合はそれほど大きくはない。賞獲得以外のイベントも大きく取り上げられていて話題度が高まっていった。劇場では主題歌”Let it go”を前面に押し出した劇場予告編が上映されていたが予告編到達率もきれいな右肩上がりであった。
◆◆◆
このような急激な右肩上がりの市場内での意欲度は公開を迎えて益々勢いづくことが期待される。
本作が日本において昨年最終興行収入89億を記録した『モンスターズ・ユニバーシティ』対比90%のスタートを切ったことで、歴代の世界興行収入ランキングにおいて『トイ・ストーリー3』を抜いてナンバーワンとなるのはほぼ確実とみられているが、それにとどまらない勢いに期待がかかる。

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