先週に引き続き映連統計データから。
前回は経年で邦画と洋画の総興行収入の変化をみたが、今回は公開本数や一本当たり興行収入、総興行収入別の構成の変化について整理した。
下記の図は映連統計で発表されている数値から、邦画、洋画別の総興行収入、総公開本数の推移とそれから算出される一本当たり興行収入の推移を示している。
こうしてみると洋画の方が動きが大きい。本数の増え方が急ピッチな分、一本当たりの洋画の興行収入の落ち込みも邦画と比べて大きい。内訳はどうなっているのか、最終興行収入別に総興行収入、公開本数の構成比を整理した。
(10億以上の作品は映連発表より。3~10億作品については各年のキネマ旬報映画業界決算特別号より。なお、3~10億作品についてはそれぞれの公開年に集計した。)
まずは邦画。こうしてみると、どのゾーンも動きが小さい。
本数の増加と一本当たりの興行収入の低下が大きかった洋画は以下の通り。
直近3年間では、総興行収入内においては、2012年以降、10億以上作品、3億未満の作品の構成比が年々増えて、「中間ゾーン」の3~10億作品の構成比が減っている。
本数ベースでは、「10億以上」「3億以上10億未満」とも2012年以降微減、3億未満の作品が占める構成比が増えている。
少ない数の大きな興行収入作品群で、より大きな総興行収入となってきている一方で、興行収入の小さな作品の数と存在感が増している。
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一方で、邦画も洋画も本数が増えたのは昨今の伸長著しいODSの影響も大きい。そこで、映連発表のODS関係の数字を以下の通り整理した。
冒頭の図Aとの違いが明らかである。こちらは総興行収入も本数も増えていて、しかも一本当たりの興行収入の伸びも大きい。
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今後の映画興行市場におけるODSの位置づけについて期待する向きも多い。統計の中で別枠で扱われているが、ODSも中身は「邦画」「洋画」と分かれているので、「ODS」とそれ以外と比べて「ODSの伸びにより今年の邦画は×%増し」という言い方になるのか、あるいは、「ODS」「映画」のとらえ方が変化するのか。
ODS市場におけるこれまでの伸びと考えられる今後のシナリオを踏まえると、5年後の2019年のODS興行収入規模は290億円(中継含む、録画のみでは190億)規模程度と試算された。現状の総興行収入に対して10%強の数字であり、興行市場の大きな一角になる見込みといえる。