映画興行に関わるコンテンツホルダー・事業者の方のビジネス上の成功のためには一つ一つの作品が「ヒット」することが大事です。
しかし、より長期的な施策を考えたり、ビジネス活動全体を底上げしていくためには、そもそも映画市場の構造はどうなっているのかを検証することも有効でしょう。
この視点に立ち、GEM Partnersでは、作品ごとだけでなく、広く、長期的な視点でのトレンド把握をするための定点調査レポートをまとめています。
最近まとめた「GEM映画白書2014」につき、概要を何回かに分けてご紹介します。
分析の視点1:「映画の興行収入」の捉え方を広げる
よりたくさんの人に(映画鑑賞者人口を増やす)より多く映画を見てもらう(年間鑑賞本数を増やす)施策はよく語られます。
日本は人口が減っていく国なので、顧客の頭数や購買頻度を増やすだけでなく、顧客単価を最大化するという視点が映画興行においても最重要と考えます。
「顧客単価」としては、映画館の入場チケット代のほかに、映画を見に行った際のグッズやパンフレット購入も、コンテンツ鑑賞体験の延長の消費行動であり、「顧客単価」と捉えてよいと思います。
チケット収入にグッズ・パンフレット購入を含めた「総」興行収入をどう最大化するかという視点を提案すべく、グッズ・パンフレット購入についてもアンケート調査しました。
そもそも関連消費行動は、映画鑑賞者がそのコンテンツから得られる喜びの増大に他ならない。こうしたコンテンツ体験の深まりは、映画館で映画を見ること自体を楽しくするはず。
したがって、関連消費の増加は、そのこと自体が収入増につながるというだけでなく、映画鑑賞者人口の下支え、ひいては鑑賞本数の増加にもつながる大事な業界指標だと考えます。
分析の視点2:映画の総興行収入目標を年間4,000億円達成のためのヒントをあぶりだす3つのテーマ
2013年の映画興行収入は1942億円でした。アンケート調査結果から、パンフレット・グッズ市場は年間300億弱と推計しました。
これを併せた「総」興行収入が現状約2200億としたとき、これを4000億にするという目標を掲げ、その施策のヒントとなるデータを以下の視点から整理しました。
◆「総」興行収入を増やす三つのドライバーと分析テーマ◆
1 映画鑑賞行動参加率を上げる
・・・他メディアと比較した映画館での映画鑑賞行動の参加率と参加のきっかけ分析
【映画鑑賞参加者分析2014】
2 年間平均鑑賞本数を増やす
・・・作品認知・鑑賞意欲から動員までの鑑賞者の行動特性分析
【情報入手経路分析2014】
【鑑賞動機・ジャンル別嗜好分析2014】
【鑑賞行動特性分析2014】
3 追加購買行動単価を上げる/鑑賞経験を「深める」
・・・鑑賞者の属性と関連購買行動を分析する
【作品別鑑賞者属性・関連行動分析2014】
次回以降の更新コラムで引き続き紹介をしていきます。