映画の鑑賞者人口は何人?(映画興行市場の徹底解剖 第1回)


国内の映画館の観客動員数はここ数年間約1.6億人で横ばいである(映連 日本映画産業統計より)。鑑賞者の数はどうか。あるいはその構成は? 市場の構造の過去、現在、未来を読み解くことで新たな方向性を探る。

現在、映画鑑賞者人口はどのぐらいなのか?

情報メディア白書によれば、2007年の映画鑑賞者人口は4010万人。この数字は、「10歳以上の人口約1.1億人×10代以上の人の映画鑑賞参加率36.3%=3993万人」とほぼ等しい(注1)。一方、長年映画業界にいらっしゃる大ベテランからは、「2000万人」という説も飛び出した。このように色々な方とお話していても映画鑑賞者人口については諸説あるようである。

弊社で行っている週次の市場調査(注2)データをみると、過去1年間の平均観賞回数は約5回である(2009年時点)。平均観賞回数(5回)×鑑賞者人口=観客動員数(1.6億人)として、逆算すると、鑑賞者数は3200万人となる。本コラムでは、これを前提に映画市場について考える。

なお、この20年間で映画鑑賞者人口を推定計算すると(注3)、2500万人から3200万人に30%増加したと考えられる。この20年間で10 歳以上の人口は、年率平均成長率は0.3%で横這いであるが(国勢調査より)、映画鑑賞行動への参加率が87年の29.5%から2007年は35.1%に増えているからである。なお、観客動員数は、2007年は1.6億であるが、10年前の87年は1.4億人であった(映連 日本映画産業統計より)。

資料:情報メディア白書、国勢調査などをベースにGEM Partners分析

次回以降、現在のこの3000万人の鑑賞者人口はどのような構成になっているのか、この10年、20年のトレンドを深堀りしていく。

注1:国勢調査が行われていない年の人口は、前後の国勢調査実施年の数値の増減率を各年の年率平均成長率に置き換えた数値を用いて推定した。

注2:劇場公開される映画作品の市場内での認知率・意欲率を調査するCATS(Cinema Analytical Tracking Survey)より。サンプル構成は、「過去1年間に映画を映画館で1本以上観た人」を、情報メディア白書の各性別・年代別の参加率と人口を考慮したものとなっている。

注3:男女年代別の情報メディア白書の参加率と国勢調査の人口からもとめられる鑑賞者人口と平均観賞回数と総観客動員数から求められる鑑賞者人口を変換する補正値を設定し、過去にさかのぼって鑑賞者人口を算出した。具体的には、10歳以上の男女の人口(国勢調査より)× 参加率(情報メディア白書より)×補正値=鑑賞者人口(2007年は3200万人)として、この補正値を0.78として、過去20年間の10歳以上の男女の人口と参加率から各年の鑑賞者人口を推定した。

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