「進撃」の満足度

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(この記事は2015年8月28日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載されたものです)
【シネマの週末・データで読解:週末興行成績(22、23日)】毎日新聞 2015年08月28日
1. (1) ジュラシック・ワールド(3週目)
2. (2) ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション(3週目)
3. (3) ミニオンズ(4週目)
4. (4) バケモノの子(7週目)
5. (5) BORUTO NARUTO THE MOVIE(3週目)
6. (6) 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(4週目)
7. (9) インサイド・ヘッド(4週目)
8. (7) HERO(6週目)
9. (8) 日本のいちばん長い日(3週目)
10.(10) ポケモン・ザ・ムービーXY「光輪の超魔神フーパ」(6週目)

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ

「進撃」の満足度

(C)2015 映画「進撃の巨人」製作委員会 / (C)諫山創/講談社

 “盛夏”となった今年の夏興行。「進撃の巨人」はインターネット上で多くの批判的な書き込みがされているが、興行収入はすでに26億円を超えており、30億円突破も視野に入る堂々たる成績である。
ネットへの書き込み量は、動員に比して、とても多い。ある映画採点サイトでの平均点が低めなのは、最低点の1点をつける人の割合が半数程度と非常に高いからである。しかし、アンケートによる劇場鑑賞者の満足度調査では、そこまで極端な状況ではない。5段階評価で最低の「不満」と答える人の割合は7%、「満足」と答える人の割合も、他作品を含めた平均値45%よりは低いながら、37%であった。
この乖離(かいり)の原因は、そもそもネットへの発信が、善きにつけあしきにつけ、「あえて書く」理由がないとしないものだからだ。「進撃」については、原作漫画ファンというこだわりの強い層の反応が非常に強く出ていたとみられる。
また、認知度が70%以上と非常に高くなっている中では、批判的な書き込みでも、人々の目に触れる時に「話題度が高い」と映るポジティブな要素もあっただろう。9月に後編が公開予定だが、劇場鑑賞者へのアンケートでは、続編鑑賞意向の高さは他の作品を含めた平均値を上回っている。満足した人も、言いたいことがある人も、後編を劇場で「目撃」する意思があるということであろう。

(梅津文・GEM Partners代表)=毎月最終金曜日掲載

◆掲載元◆
毎日新聞: シネマの週末・データで読解 「「進撃」の満足度」 (毎日新聞2015年8月28日 東京夕刊)

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