今週末で11週目となる『アナと雪の女王』は、先週末土日も興行成績ランキングで1位となり、既に興行収入は185億を突破し、いまだ勢いがある。
先週末時点での「アナ雪」劇場鑑賞意向は、今後12週間以内に公開される作品群を大きく上回っている中で、今後の展開がホームエンタテイメント市場戦略含めて注目されるところである。
一方、「雪はいつか必ず解ける」とも限らないが、いつかは次の興行ランキングナンバーワンが登場する。その日はいつなのか、どの作品がそれを成し遂げるのか。
「アナ雪」は異例な要素が多いモンスターヒットなので予測は難しいが、今後の夏までの興行シナリオを分析、シミュレーションした。
◆『アナと雪の女王』のこれまでの週末土日興行の推移◆
まず、シミュレーションの前提として、『アナと雪の女王』の興行の推移と前週比の変化を整理した。
劇場公開後前週比で-20~30%となることが多い中で、前週比の落ちが少ないどころか増えている週もある。5月3、4日のゴールデンウィークには前週比+46%となり興行を大いに沸かせた。
◆「アナ雪」と今後公開作品の動きのシナリオ検討◆
直近でも「アナ雪」関連のテレビでの番組内露出量は洋画大作の公開直前の量とそん色ないレベルである(5月10日~16日)。そんな中で興行収入の推移に影響を与える要素は多く、判断は難しい。
そこで、興行収入が「今後もまだまだ強い動きを示した場合」と「急速に落ちてしまった場合」のシナリオを想定し、前週比-10%から-40%まで想定してシミュレーションを行った。
また、今後の公開作については、5月3日、10日、17日、24日時点の映画鑑賞者人口内の意欲率等の数字を過去類似作と比較した興行収入シミュレーション結果の数値を用いた。
◆まだまだ「アナ雪」旋風が続くシナリオ◆
まず、前週比で-10%で推移した場合である。
この場合、今後公開作品の現時点での計算結果を踏まえると、「アナ雪」から一位の場を奪うのは7月5日公開の『マレフィセント』と想定される。しかも『マレフィセント』の劇場予告編鑑賞者や意欲層を踏まえると、「アナ雪」がこのペースで推移すれば、『マレフィセント』の数値もより上昇していく可能性がある。
「アナ雪前週比-20%」推移シナリオでも同じく、一位を奪うのは『マレフィセント』である。
◆さすがに下落が始まるシナリオでは◆
仮に、今後前週比−30%で推移した場合は、新しいナンバーワンの登場のタイミングはもう少し繰り上がる。
上記の通り、6月28日の『渇き。』が現時点の数値では有力である。
しかし、同週公開の『トランセンデンス』も僅差である。また、6月14日、6月21日の週末に公開される作品の現時点での計算結果は大きく変わらず、このアナ雪展開シナリオにおいては『300~帝国の逆襲~』『超高速!参勤交代』もしくは『ノア 約束の舟』『春を背負って』などもナンバーワン奪取の可能性があるといえる。
◆
「アナ雪」前週比の落ちがさらに大きくなったシナリオでは、来週末公開の『X-MEN:フューチャー&パスト』という可能性もある。
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異例尽くめで興行の裾野を広げた「アナ雪」の動向と今後の公開作の展開がどうなるか、非常に流動的な状況といえる。
あるハリウッドメジャーの日本配給会社の幹部の方が、「例年閑散期となるゴールデンウィーク後から夏までのこの時期、洋画も邦画もこのラインナップが採算ラインの目安の10億超えていくことがビジネスとして非常に大事」おっしゃっていた。それぞれの夏の大作を控えてラインナップが数珠つなぎにヒットし年間通したビジネスの成功につながるという意味でも大事、ということと想像する。
ゴールデンウィークから打って変わって祝日がない6月は、「お休みだから映画でも見るか」という中の一本になるというよりは、「その映画だからこそ出かけて見に行く」層をきちんと掘り起こして多く動員し捕まえる必要があって、別のチャレンジがあると考える。
「アレンデール王国」にも、書き入れ時の夏までに公開される佳作たちにも、ヒットの春が訪れることに期待がかかる。
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「映画館に再び活気? 『アナと雪の女王』が与える影響」/Yahoo!ニュース
〇関連映画一覧〇
『アナと雪の女王』
『マレフィセント』
『X-MEN:フューチャー&パスト』
『ノア 約束の舟』
『春を背負って』
『300~帝国の進撃~』
『超高速!参勤交代』
『トランセンデンス』
『渇き。』