活況を呈する夏休み興行

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(この記事は2015年7月31日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載されたものです)
【シネマの週末・データで読解:週末興行成績(25、26日)】毎日新聞 2015年07月31日
1. (1) HERO(2週目)
2. (2) バケモノの子(3週目)
3. (4) インサイド・ヘッド(2週目)
4. (3) ポケモン・ザ・ムービーXY「光輪の超魔神フーパ」(2週目)
5. (5) ターミネーター:新起動/ジェニシス(3週目)
6. (6) アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(4週目)
7. (7) ラブライブ!The School Idol Movie(7週目)
8. (10) それいけ!アンパンマン ミージャと魔法のランプ(4週目)
9. (8) 映画ひつじのショーン−バック・トゥ・ザ・ホーム−(4週目)
10.(9) マッドマックス怒りのデス・ロード6週目(6週目)

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ

アニメが快進撃

 2週連続で1、2位を分け合った「HERO」と「バケモノの子」がけん引し、夏休み興行が活況を呈している。今後も台風の目となりそうな作品の公開が続く。

『ミニオンズ』

(C)2015 Universal Pictures.

 アニメでは洋画の「ミニオンズ」、邦画の「BORUTO−ボルト−NARUTO THE MOVIE」。実写では邦画の「進撃の巨人」、洋画の「ジュラシック・ワールド」「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」。訴求層は大まかに言えば、アニメと邦画は若い年代に、洋画実写は高めの年代となっている。
これまでの実績値や、公開前作品の浸透度を踏まえると、この夏の公開作品の興行収入の合計は、2000年以降通年で最高の年となった10年に迫る勢いだ。同年夏は「借りぐらしのアリエッティ」(興収92.5億円)と「トイ・ストーリー3」(同108億円)の2作が突出して大ヒットした。今年は前述の今後公開作以外に、ヒット中の「ターミネーター」「アベンジャーズ」をはじめ興収30億〜80億円級のヒット作品が多くなりそうなのが特徴だ。
少ない作品に、映画鑑賞本数の少なめなライト層を含めた観客が集中したメガヒットも興行の勢いを生むが、ミドル・ヘビー層が「あれもこれも」となっても、全体の興行が活気づくのではないか。今夏のターゲットは例年よりも分散し、幅広い層が映画館に押しかけそうだ。

(梅津文・GEM Partners代表)=毎月最終金曜日掲載

『ミニオンズ』

(C)2015 Universal Pictures.

◆掲載元◆
毎日新聞: シネマの週末・データで読解 「アニメが快進撃」 (毎日新聞2015年7月31日 東京夕刊)

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