(この記事は2014年12月26日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載されたものです)
(C)LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト2014
【週末興行成績(20、21日)】
1.(ー)妖怪ウォッチ誕生の秘密だニャン!(1週目)
2.(ー)ベイマックス(1週目)
3.(1)アオハライド(2週目)
4.(ー)バンクーバーの朝日(1週目)
5.(3)ホビット決戦のゆくえ(2週目)
6.(2)THE LAST NARUTO THE MOVIE(3週目)
7.(7)ゴーン・ガール(2週目)
8.(6)寄生獣(4週目)
9.(4)仮面ライダー×仮面ライダードライブ&鎧武 MOVIE大戦フルスロットル(2週目)
10.(5)劇場版アイカツ!(2週目)
今年を象徴するヒットが、もう一つ生み出された。「妖怪ウォッチ」である。土日2日間の興行収入は、ジブリの「ハウルの動く城」を上回る16億円超えを達成。2000年以降に公開された邦画の初週土日興収で歴代1位となった。
「妖怪ウォッチ」は劇場公開の前に、ゲームを中心にアニメ、漫画、おもちゃなど多面的なメディア展開がされている。ゲームは昨年発売されたが、テレビ放送が始まったのは今年の1月。そこから「垂直立ち上げ」と言えるスピードで一気に市場を創出している。これまで数多くみられた「売れている原作をほかのメディアに展開」という形態とは異なり、多くの人の心をつかむコンセプトを前提に、明確なターゲットに向けて複数のメディアに同時多発的に露出し、ゼロから一気に話題作りと旬度を醸成した。来年末の劇場版公開と欧米での放送開始も発表され、勢いはさらに増すだろう。
ヒット作は市場の華。とはいえ、予想できたらヒットとは言えない。「妖怪ウォッチ」や興収250億円を超えた「アナと雪の女王」のようなメガヒットの登場を、去年の今ごろ想像することは困難だった。来年も映画業界に数多くのサプライズヒットが生まれることに期待がかかる。
(梅津文・GEM Partners代表)=毎月最終金曜日掲載
◆掲載元◆
毎日新聞: シネマの週末・データで読解 「もう一つのメガヒット」 (毎日新聞2014年12月26日 東京夕刊)