映画マーケティングデータの可視化

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いま各企業は、アクセス可能なデータ量の爆発的な増加によって、それを活かすためのツールも多様化し、また、進化を遂げている。その中で弊社は「tableau」というツールの導入を進めている。最近のコラムで使用しているグラフも、多くはこのツールで作ったものである。また、映像ホームエンタテイメントユーザー分析レポートにおいてもtableauを活用したデータツールが含まれている。
分析によって新たな発見を増やす有力な一つの方法は、個別のデータが有機的につながって、さらにはそれが簡単に視覚化できることと実感することも多かった。このコラムにおいてこれまではそのツールを使って作ったもの画像で掲載していたが、簡単な分析機能がついた形でここで紹介したい。

夏・春・冬休みとともにゴールデンウィークは「書き入れ時」と言われ、興行収入は多くなる時期である。では、その時期に公開される作品の浸透度は年間を通した時期別でみた時にどのような傾向があるのか。

劇場公開映画の認知度・意欲度と興行収入

まずは、過去一年間の作品(2014年10月から2015年9月までの間に公開された主要作品)をすべてプロットした。
横軸は認知度、縦軸は意欲/認知度(その作品を認知している人の中の意欲度)を示していて、右斜め上に行けば行くほど、意欲度(全体の中の意欲度)が高いことを示す。
大きさは公開週末土日の興行収入を示している。

これだけでは、右上に行けば行くほど興行収入が大きく、左下に行けば行くほど興行収入が小さく、意欲度は観たい人の数なのだから興行収入と比例すると考えられ、当たり前である。
では、邦画と洋画では違いがあるのだろうか。そこで、邦画と洋画を図の中で色分けした。

劇場公開映画の認知度・意欲度と興行収入 邦画と洋画の比較

こうしてみると、全体的に邦画が右下のゾーンにあって、洋画は左上にある。つまり、邦画は認知度の高さによって意欲度を上げていて、洋画は意欲/認知度の高さで意欲をあげていることがわかる。
こうした分布は季節によって異なるのだろうか。次のグラフでは、月別に各作品のプロットがわかるようにした。

劇場公開映画の認知度・意欲度と興行収入 月別分析

ここでは、実際に画面の中で動かせるチャートを用意したので、ぜひお試しいただきたい。
グラフの下にある、”January 2015″などの左右にある矢印を押していただくか、その右にある丸ボタンのスライダーを動かすと、先ほどまで見ていただいたデータを、月ごとに見ていくことができる。

動かしてみると、月によってそもそもの浸透度の高さも大きく異なることがわかる。
2014年10月、11月は円の大きさが小さい(興行収入が小さい)が、認知度等も低い作品が多い。
2014年12月には冬休み向けの大作が公開されて興行収入も認知度等も大きくなっている。
今年は4月(ゴールデンウィーク)、7月・8月(夏休み)に大きな興行収入を上げた作品が集中したが、認知度等の数値も高め。

以上のような整理を次々に行うことができ、まさに思考と同じペースで視覚的な分析が可能なツールである。
意思決定のための分析を、より早く、よりわかりやすくするものであり、こういった分析を今後もここで取り上げていきたい。

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