(この記事は2015年10月30日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載されたものです)
【シネマの週末・データで読解:週末興行成績(24、25日)】毎日新聞 2015年10月30日
1. (ー) ギャラクシー街道(1週目)
2. (1) 図書館戦争 THE LAST MISSION(3週目)
3. (2) マイ・インターン(3週目)
4. (3) バクマン。(4週目)
5. (ー) メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮(1週目)
6. (ー) トランスポーターイグニション(1週目)
7. (4) ヒロイン失格(6週目)
8. (6) UFO学園の秘密(3週目)
9. (8) 心が叫びたがってるんだ。(6週目)
10.(5) ジョン・ウィック(2週目)
※()の数字は前週順位。興行通信社調べ
三谷作品の離れ業
三谷幸喜監督の「ギャラクシー街道」が初登場1位を獲得した。三谷監督の7作目で、土日2日間で興行収入2.7億円。前作「清須会議」(2013年、公開最初の土日2日間興収4.8億円、最終興収29.6億円)、その前の「ステキな金縛り」(11年、同5億円、同42.8億円)と比べて低めのスタートとなった。またネット上のレビュー投稿を見ても、鑑賞者の評価も厳しめだ。
とはいえ、オリジナル作品でこれほどの動員ができる実写監督は他にいない。データからは、毎回異なる客層に訴求し、監督のファンに加えて、常に違う客層も開拓していることがうかがえる。
(C)2015フジテレビ 東宝
鑑賞者の属性という観点で近年の三谷作品同士を比較すると、時代劇だった「清須会議」は男性の鑑賞意欲が相対的に高めで、鑑賞者は50代以上の男女が中心だった。対して「ステキな金縛り」と「ギャラクシー街道」は、女性の意欲が相対的に高め。性年代別に見ると「ステキ」は女性20〜50代がほぼ均等であるが、「ギャラクシー街道」は女性20〜30代が他の年代よりも大きな割合を占めている。
三谷作品は人気原作の映画化ではなく、毎回オリジナルである。漫画や小説、ドラマなどタイトルや内容がある程度知られている原作ものと違い、オリジナルはゼロからの出発だ。それで毎回数百万人規模の動員を達成するのは離れ業といっていい。日本の娯楽映画では、やはり最高峰の一人だろう。
(梅津文・GEM Partners代表)=毎月最終金曜日掲載
◆掲載元◆
毎日新聞: シネマの週末・データで読解 「三谷作品の離れ業」 (毎日新聞2015年10月30日 東京夕刊)