今週末は「終戦のエンペラー」(松竹配給)が公開される。
本作は1945年終戦直後の日本を舞台に、マッカーサーの部下を主人公に据えた歴史事実に基づくサスペンス映画である。トミー・リー・ジョーンズ、西田敏行などの認知度の高い日米俳優がキャスティングされている。
過去に公開された、戦争・史実を内容とし同規模で公開されたシニア向け映画のデータと比べると、認知・意欲の動きはおおむね公開週土日の興行収入1億~2億弱のペースで推移している。
認知・意欲の数値の推移は「太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-」(2011年2月11日公開、公開週末土日2.5億、最終興行収入15.7億)や「聯合艦隊司令長官 山本五十六」(2011年12月23日 公開週末土日1.5億、最終興行収入15.3億)より低めである。テレビCM・番組内露出の累積は少なめということもあり、特に認知が低い。
しかし、その中でも先週時点(7月20日)では認知率が前週比で9ポイント上昇と大きく伸びた。これは18日のジャパンプレミア実施、トミー・リー・ジョーンズの来日などが報道されたこともあるが、もう一つ、本作を題材に有識者による紙面議論を掲載した19日付の朝日新聞、産経新聞での30段広告企画も効果があったと考えられる。本作を認知している人に対する「本作をどの情報源で知ったのか」というアンケート質問に対して「新聞」を挙げる割合が認知度の割に、あるいは「太平洋の奇跡~」と比べても相対的に高く、前週比でも伸びが顕著だからである。また、性年代別にみると50-60代男性での認知度だけでなく興味度も伸びている。
一般論として「○○広告が効かなくなった」「伸びている××広告をどう活用するか」ということも議論の意味はあるが、それぞれの作品のおかれた状況とターゲット層は大きく異なる。個別の作品、あるいは普段映画の情報を何から得ているのか、というアンケート結果をみても性年代その他の属性によって数値はそれぞれ特色がある。また当然ながらそれぞれのメディアにどう出すのかということでも効果は大きく変わる。
シニアの意欲が高めの本作は新聞媒体への思い切ったリソース配分が功を奏した事例と言える。