(執筆:梅津文)
今週末公開映画の中から「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語」をとりあげる。
本作はシリーズ三作目だが、これまで公開されている「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編]始まりの物語」(公開週末土日1.4億、最終5.9億)、「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [後編]永遠の物語」(公開週末土日1.7億、最終5.6億)と比べて高い意欲度。すでに動員のベースとなるコアファン層を超えた意欲度の高まりがみられる。これまでの劇場版はアニメの総集編であまり真新しいこともなかったため、コアファンとともに「アニメはちゃんとみてないが今回みんなと行こう」と考えた新規ファンの動員がメインだったと考えられる。しかし今回は完全新作でありまた新キャラも登場する。コアファンを超えてライトファン含めいまのファン層の多くに訴求できるであろう。先週末までの認知・意欲度の高さと興行収入を過去の同規模公開かつ「(15歳未満の)キッズ中心ではない」邦画アニメ作品(ジブリ・エヴァンゲリオン除く)と比較して公開週末土日2.1~2.6億ペースで推移している。
シリーズ前作を上回るペースとなっているのはまずは今回のファンにとっての「新規性」が効いた結果とみられるが、「イベント性」の後押しによってさらに上を行く可能性もある。ほかに上振れする可能性としては、ファンに向けた来場者特典。公開週末の来場者特典はランダム配布で「特典コンプ(コンプリート)」狙いで多数チケットを買うファン、リピーターも多いとみられる。なお、土曜日の未明から新宿バルト他、全国上映129館のうち51の劇場にて最速上映会が行われるが、たとえば新宿バルト9では金曜日のお昼の時点で、土曜日の未明から夜までチケットがすでに売り切れている。
公開してから最終までの伸びは、前回は公開週末土日に対して3~4倍の伸びだが、 本作のテレビアニメ版はテレビ放映中からファンによる「考察」が盛んで、今回の映画は総集編ではなくて完全新作である上に新しいメインキャラも登場する。ファン同志の話題として公開直後からの大きな盛り上がりも予想される。また、来場者特典も週替わりで変更され、何度でも行く楽しさが演出されているのもファンの間では話題となっている。
アニメの劇場版はおおむね公開週末土日に集中してその後伸びないケースも多いが、公開週末土日3.2億から最終19億と6倍になった「映画 けいおん!」のケースのように伸びていく可能性もある(ただし「映画 けいおん!」は2011年12月3日公開で冬休み興行であったことは留意が必要)。「劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」も公開週末土日2億から最終は10億突破を見込む動員。「まどマギ」も「あの花」も「男性10代から30代、女性10代から20代」が意欲層の中心であるが、この層での(これまで何年も続いたフランチャイズオールターゲットアニメおよびジブリ以外でも)アニメを劇場でみるという層の広がりがみられ、最終は10億は超える見込みが高く、15億もあるいはそれ以上も期待できる動きとみることができる。