(執筆:梅津文)
嵐の松本潤・上野樹里主演の「陽だまりの彼女」が今週末公開される。
過去の邦画作品のうち、公開規模・メインとなる意欲層が近い作品と比べると公開週末土日二日間で2.6~3.0億ペースで推移している。
先週土曜日時点での認知・意欲の数値を同じジャニーズ事務所所属タレントが主演した最近の映画と比べるとちょうど以下3作品と近い。なお、「陽だまりの彼女」含めてこれらの作品は12週前からほぼ同じ軌跡を描いて推移している。
「僕と妻の1778の物語」(2011年1月公開、公開週末土日1.6億、最終12.3億)
「脳男」(2013年2月公開、公開週末土日2.1億、最終13.0億)
「僕等がいた」(2012年3月公開、公開週末土日3.0億、最終25.2億)
同じような認知・意欲の推移でありながら上記3作品も公開週末土日の数値がばらついているが、これは最後の一週間の伸び方の違いというより意欲層の構成の影響とみられる。
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いずれの作品も鑑賞意欲層は7~8割が女性。「僕と妻の1778の物語」は女性20代から60代女性と幅広い年代に広がっている。「脳男」は女性は20から50代が中心であり、一方で若干男性の割合が高め。一方の「僕等がいた」は女性15歳から29歳と40代女性に集中している。アンケート対象ではない15歳未満の女性の意欲も高かったと考えられる。
以上から、市場全体での意欲度・認知度の数値は同じながら、「僕等がいた」の興行結果が高めだった要因として、「幅広く」よりも一極集中の方が個々にとっての「話題度」が高まっていたことがあると考える。たとえば「僕等がいた」は公開時15歳から19歳女性の中での認知度は85.7%であり、その年齢層の人の「ほぼ誰でも知っている」状態だったことが伺える。
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これを踏まえて「陽だまりの彼女」の特徴をみると、意欲層に占める女性が8割近くと上記作品と同傾向。年齢層でみると、先週末時点では年齢層の広がりは、やや女性15歳から29歳の若い女性と女性50代が多めではあるが、「僕等がいた」の公開時ほどは集中はしていない。一方、上記3作品とは違う要素としては「嵐」の力。最近でいえば「プラチナデータ」(嵐・二宮和也)「謎解きはディナーのあとで」(嵐・櫻井翔)は意欲・認知数値に対する興行結果の上ぶれが特に目立つ。初日舞台挨拶の全国中継の影響はもちろん、公開間際の宣伝露出量やファン層の動きの力強さを感じさせる動きであった。本作が同じ嵐・松本潤主演であることは期待材料である。
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このように、公開タイミングにかけての全体数値の伸び方がどうなるのかはもちろん、若年女性にさらに集中して数字がはじけるか、あるいは「若い女性がメイン意欲層の邦画」を超えて「嵐グループ」の力がどう影響するかが注目点と考える。
「陽だまりの彼女」2013年10月12日 公開(C)2003『陽だまりの彼女』製作委員会