三連休の今週末に公開される映画の中から、『永遠の0』をとりあげる。
公開1週前まで『真夏の方程式』『清須会議』と同程度のオープニングとなるペース
『永遠の0』は、意欲度、認知度ともに高く、近年の実写邦画作品と比較して先週末までの公開週末土日二日間は4.5~5.0億のペースで推移している。今年で言えば、『真夏の方程式』(公開週末土日二日間4.6億、最終33.0億)、『清須会議』(公開週末土日二日間4.8億、最終30.0億程度)と同程度のオープニングとなるペース。
先週末公開の『ゼロ・グラビティ』との共通点は「意欲/認知度の高さ」
『永遠の0』は、冬休み・正月興行の邦画の大注目作であるが、先週末は洋画の大注目作として挙げられる『ゼロ・グラビティ』が公開週末土日二日間3.0億でスタートしている。『ゼロ・グラビティ』は、公開後の反響も大きく、興行収入の伸びが期待される。
『永遠の0』と『ゼロ・グラビティ』の共通点は、認知している人の中の反応度合を示す「意欲/認知度」の高さ。早い段階から「過去の同規模・似たジャンルの作品と比べて、この作品は高めの数値となる可能性が高い」というレベルであった。
きっちり認知度上がった『ゼロ・グラビティ』
どの作品についても言えることだが、公開に向けて力強く変化するのは認知度。洋画は、各作品で比較すると、規模に対して露出量が一定の範囲内に収まる。また、認知のあがり方も類似作品同士で比べるとばらつきが少ない。
公開一週間前から公開日までの認知度の伸びは、洋画メジャー配給の大規模公開作品でもアカデミー賞受賞報道や特筆すべきスポットCMの投下量、あるいはイベント報道でもない限りはおおむね5~10ポイント程度。 『ゼロ・グラビティ』も認知度が7ポイント伸びており、意欲/認知度が伸びたことで意欲度も伸びた。
どうジャンプするか『永遠の0』
一方の邦画は、洋画と比べて規模やジャンルに対してどの程度露出があるかはまちまち。作品の公開規模に関わらず、各種番組、報道で大量にキャスト関係の話題が取り上げられるケースもあれば逆も散見される。結果、ある時点の数値からその後、意欲度、認知度の動きにばらつきが見られる。
『永遠の0』も、先週金曜日時点まで大量のテレビ番組内露出があり、認知度だけでなく「意欲/認知度」も上昇し、市場全体での意欲度が力強く伸びている。コラム冒頭の「近年の実写邦画作品と比べて4.5~5.0億」というのは、比べた作品と同程度の露出と、それに対する反応があることを織り込んでのシミュレーション結果だが、さらに好反応となり、一層話題度が高まる可能性も高い。
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このように邦画、洋画は、ビジネスモデルの違いに起因して露出の仕掛け方が異なり、マーケティング指標の動きも異なる。
この冬、「0」と「ゼロ」は、多くの人にとって「思い出の一本」となることは間違いなさそうな動きである。
(C)2013「永遠の0」製作委員会