今週末公開される映画の中から山田洋次監督最新作『小さいおうち』をとりあげる。
近年の山田洋次監督作品と比べるとシニア女性により集中
意欲層は、本作も近年の山田監督作品『おとうと』(2010年1月30日公開、公開週末土日興行収入2.4億、最終興行収入21億)及び『東京家族』(2013年1月19日公開、公開週末土日興行収入2.1億、最終興行収入17億)も、50-60代シニアが中心である。
家族の物語を描くこれらの山田監督作品は、中心となる人物像やキャスティングによって訴求する層が異なっている。
本作も上記2作品も女性が少し高めだが、『おとうと』は男女差が小さく、男性60代が突出している。一方『東京家族』は『おとうと』よりも女性に少し寄っていて女性60代が一番高い。
これらと比較して、本作はさらに女性の意欲が高めで、特に60代女性が突出している。
公開1週前時点では『東京家族』と同程度まで期待度が上がっている
山田監督作品と同様に50‐60代以上のシニア層に向けた作品のヒットが昨今増えてきている。
シニア映画は意欲度の数値に対して、公開週末土日興行収入が少し低めに出やすい。公開前の意欲層の動員が平日に分散することが一つの要因と考えられる。
しかし、『おとうと』も『東京家族』も公開時の意欲度に対して公開週末土日の興行収入の数値がほかのシニア向け作品と比べると少し高めに出ている。
これを加味した上で認知、意欲の数値をもとにシミュレーションすると、2週前の1月11日時点では1.3~1.7億ペースであった。しかしその時点から数値が力強く伸びて公開1週前時点(1月18日)では、1.7~2.3億ペースと『東京家族』と同程度まで上昇した。
ベルリン映画祭コンペティション部門出品に関する報道等、NHK含めてテレビ番組内での紹介が多数あったことが功を奏したものとみられる。
公開1週前から公開日にかけて『おとうと』『東京家族』ともさらに力強く数値が伸びた。一方、本作の意欲層は女性多めということでグループ動員などにつながればより興行も弾むとみられる。
本作も大きな伸びと力強い興行に期待がかかる。
「小さいおうち」2014年1月25日 全国公開 (C)2014「小さいおうち」製作委員会