「アニメ大躍進の1年」(毎日新聞夕刊映画欄から転載)

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(毎日新聞夕刊映画欄「データで読解」にて2013年12月27日付で掲載された記事の転載です)

 当欄も今年最後。興行の1年聞を振り返ってみよう。
 実写邦画の興行収入は、「真夏の方程式」が1位。「謎解きはディナーのあとで」など人気原作やジャニーズ所属タレント主演映画のほかに、「そして父になる」「清須会議」など作家性と娯楽性が両立したヒットも目立ち、バラエティー豊か。しかし全体では、昨年の「海猿」「テルマエ・ロマエ」のような50億円を超えた作品がなく、全体に占める割合は昨年の5割程度から3割程度に落ちる見込み。
 実写洋画は、総興行収入も10億円超えのヒット作品の数も、昨年とほぼ同じ。業界の話題をさらった「レ・ミゼラブル」「テッド」に、「007スカイフォール」が続く。
 アニメ大躍進の年だった。邦画では、ジブリの「風立ちぬ」の120億円を筆頭に、「ONE PIECE FILM Z」「ドラえもん」など定番が続く。「魔法少女まどか・マギカ」も大ヒット。こうした映画版「深夜放送アニメ」の上映はイベント化し、コアファンが来場特典目当てで何度も劇場に足を運ぶなど、興行を盛り上げた。全体に占める割合も、2割から3割へと増加した。
 洋画も豊作。ピクサーの「モンスターズ・ユニバーシティ」が90億円を超えたほか、ディズニーの「シュガー・ラッシュ」、登場するキャラが大人気の「怪盗グルーのミニオン危機一発」が上位。ハリウッドコンテンツのブランド力の底力を感じさせた。
=毎月最終金曜日掲載
(GEM Partners代表、梅津 文)


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