今週末公開映画も『47 RONIN』や『利休にたずねよ』などお正月大作が目白押し。ここでは、毎年劇場公開されヒットしている人気シリーズの“拡大劇場版”とも言える『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』をとりあげる。
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「ルパン三世VS名探偵コナン」は、2009年3月に日本テレビ・読売テレビの開局記念特別番組として、金曜ロードショー枠で放送された。その後「劇場版名探偵コナンシリーズ」に合わせて二回再放送されており、このコラムで扱っている『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』の公開前日である12月6日にも、また再放送される。
本作の比較対象としては、劇場公開映画の中では毎年ゴールデンウィークに公開される「劇場版名探偵コナンシリーズ」が適切。2010年版(「名探偵コナン 天空の難破船」)、2011年版(「名探偵コナン 沈黙の15分」)、2012年版(「名探偵コナン 11人目のストライカー」)までは、6.0億前後(5.5~6.3億)でスタートし、最終興行収入は32.0億前後。2013年の最新作(「名探偵コナン 絶海の探偵」)は、より数字を伸ばし公開週末土日6.7億、最終興行収入36.0億を超えた。本作の意欲度、認知度の推移もおおむね過去の「劇場版名探偵コナンシリーズ」と同程度であり、「コナンシリーズ」と捉えれば、5.0~7.0億スタートペースである。
意欲層を見ると、「劇場版名探偵コナンシリーズ」と「ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE」は、訴求層が若干異なる。「劇場版名探偵コナンシリーズ」は、男女15歳~69歳の中でも女性多めであり、15歳~29歳の女性がメイン層である。本作は、公開一週前時点の数値を見ると男性が多め。その中でも40-50代男性がメインとなっている。
事前の数字から興行の見込みを考えるとき、過去の「コナンシリーズ」と言っても、“ルパン三世 VS”であるため、コナンファンがどの程度動員されるのかが未知数である。一方で、そもそも「ルパン三世VS名探偵コナン」というコンテンツ自体、2009年テレビ版の放送時には19.5%の高視聴率だった訴求度の高いコンテンツであり、「イベント性・話題性」の醸成次第では数字が跳ねる可能性も高い。作中では、ルパン三世とコナンは敵味方だが、作品としてはつぶし合う関係ではなく、「お互いに成長をもたらすライバル関係」となることに期待がかかる。