「進撃」の口コミ効果

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 先週のコラム投稿「「進撃」の満足度」では、興行収入20億を超えるヒットとなっている『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』の満足度について、ネットでの口コミレビューによる評価点と実際の鑑賞者へのアンケートにおける満足度を比較しつつ分析した(毎日新聞夕刊より転載)。
 この点をもう少し掘り下げて、作品ごとに、「ネットの悪いレビューによって観たくなくなった度合い」と、「その作品の話題度が高さが動員を後押しした度合い」を検証した。
 以下は、同じ調査に基づき、本年5月29日~8月8日の間に100スクリーン以上で公開された作品について調査した結果を整理したものである。
 横軸は、その作品を「観なかった人」のうち、その理由として「ネットやSNSなどでの口コミ・評判が良くなかった」からと答えた割合を示している。
 縦軸は、その作品を「観た人」のうち、その理由として「話題になっていた/話題になりそうだった」からと答えた割合を取ったものである。
「ネットの口コミのネガティブ効果」×「話題度による動員後押し効果」

【図】「ネットの口コミのネガティブ効果」×「話題度による動員後押し効果」

 こうしてみると、「進撃」を観なかった人の中でネット等の口コミ・評判の悪さを挙げる人は確かに他の作品と比べて非常に高い(横軸)。しかし一方で、動員における「話題度の高さ」貢献度は、100億も視野に入った『ジュラシック・ワールド』や50億級の『映画 HERO』『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』並である(縦軸)。これらの作品はいずれも「ネット等の口コミ・評判が悪かったから観なかった」と答える人の割合は非常に低く、実際、各レビューサイトでの評価点は極めて高い。
 上記のことから、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』は、ネット等での口コミ・評判が悪かったから観なかった人の割合も高いのだが、同時に、話題度の高さによって動員を後押しした度合いも高いことがわかる。
やはり、「悪いレビュー」も無視されるよりましであり、極端なレビュー点数の低さは、浸透度の高い作品においては話題度のトリガーとなりうるということが言えるのではないか。

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