先週に引き続き、2014年の映画興行及び映画鑑賞者人口の動態を探るために、昨年末に実施したインターネットアンケートの集計結果からピックアップしたい。
前回の「映画館で体験した、良かったサービス」に続き、今週は「映画館に欲しいサービス」というフリーアンサー質問への回答を整理集計した結果のランキングを紹介する。
映画館に「欲しいサービス」ランキング
映画館に欲しいサービス | ||
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1 | 鑑賞設備(椅子など) | 23人 |
2 | 飲食物提供 | 14人 |
3 | 割引 | 11人 |
4 | ブランケット貸出し | 5人 |
5 | 上映プログラム内容 | 5人 |
6 | 入場特典 | 4人 |
7 | 設備全般 | 4人 |
8 | 関連グッズ販売 | 3人 |
9 | 映画館スタッフの対応 | 3人 |
10 | エンドロール後の映像の有無の告知 | 2人 |
11 | 上映方法・設備(4DXなど) | 2人 |
12 | 飲食物の持ち込み | 2人 |
13 | 荷物預かり | 2人 |
14 | 託児施設 | 2人 |
- | その他 | 11人 |
(有効回答数=93)
※一つしか挙げられなかったものはその他にカテゴリ分けした
こちらは大差をつけて「鑑賞設備」が1位。
内容は、鑑賞中にゆったりできる設備が要望として挙がっている。具体的には「リクライニング」が一番多く、ほかには、足が伸ばせる、マッサージチェア席、音の出ないフットマッサージャー貸出テーブル、ベッド、コートが置けるスペース、首のクッション、個室など。なお、コメントの中には、「田舎の映画館はそんなに人がいるわけじゃないので、席を広くしてほしい」というものもあった。
さらに2位の「飲食物提供」はドリンク等の既存のコンセッションの無料提供のほか、「時間待ちのコーヒーショップ」など。「上映プログラム内容」はメイキング映像などの要望。「関連グッズ販売」では「関連映画のCD販売」のほか、「パンフレットを通販でも買えるように」「デジタルカタログ」といったコメントがあった。「映画館スタッフの対応」としては「音や声を出す人に直接注意する」など。
「その他」の内訳は「売り子の復活」「パンフレット配布」「外にいる場合に、上映時間をスマホで伝えてくれるサービス」「スマホを充電できること」などのコメントがあった。
◆ ◆ ◆
全体的に、項目別ランキングと具体コメントをみてみると、多額の資金投下等や運営オペレーションの大きな変更などを実施しなくても対応ができそうなもの、あるいは、すでに実施している施策の認知を上げればいいものも多かった。
例えば、「割引」は、項目内の具体的なコメントを見るとすでに多くのシネコンチェーンで実施済みである「ポイントサービス」や「何回か通っている人への割引等」という声も多く見られた。回答者が利用している劇場にはないのかもしれないが、既に存在している料金の仕組みが浸透することで、顧客のもつ映画館に対するイメージが変わる余地もあるのではないか。
また、4位の「ブランケット貸出し」は「体験した、良かったサービスランキング」でも2位であった。実施や施策の浸透の展開の余地はまだあり、かつ、喜ばれる可能性が高いといえる。
具体的なコメントとしては「毛布がほしい。冬場なんかはスカートだと寒いしそういうサービスがあったら嬉しい」というものがあった。こうしたサービスが存在していることがより浸透すれば、女性や年配者のライトユーザー動員の後押しにつながりそう。
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日本国内、世界を見渡すといろんな劇場があり、また、サービスも様々で言い出せばきりがない。どんな施策も費用対効果は吟味すべきだが、本アンケート回答を見る限り、多くのコストや労力をかけずとも映画館での体験価値を上げる余地はまだまだあると考えられる。