2012年回顧(2)認知度などのマーケティング指標ランキング

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弊社では毎週全国に住む15歳から69歳の方に向け、2000人程度にインターネットアンケートを実施し、公開前の作品タイトルに対する認知度、意欲度を調査、集計、分析しています。2012年映画(2011年11月末から2012年11月末までに劇場公開されたもの)につき、これら数値をランキングにしました。

まずは【公開週の認知度トップ10】

ランク 作品名 配給会社 認知率
1 ALWAYS 三丁目の夕日‘64 東宝 87
2 踊る大捜査線 THE FINAL 東宝 84
3 映画 怪物くん 東宝 81
4 タイタニック 3D 20世紀フォックス 81
5 貞子3D 角川書店 80
6 宇宙兄弟 東宝 80
7 るろうに剣心 ワーナー 77
8 映画 ひみつのアッコちゃん 松竹 76
9 映画 ホタルノヒカリ 東宝 74
10 はやぶさ 遥かなる帰還 東映 73

ここにある作品をみると、まず認知度が高い作品には、人気原作・シリーズもの、テレビ局出資作品などの邦画が多いことが分かります。ベースの認知度の高さに加え、公開前に人気キャストがテレビ番組で宣伝をすることが認知の上昇を牽引しています。
しかし認知度が高くないとヒットしないのかというとそうでもなく、例えば、今年興行収入ナンバー1、2の「BRAVE HEARTS 海猿」「テルマエ・ロマエ」などはランクインしていません。また、「貞子3D」は、公開スクリーン数200と、他作品と比べて相対的に小さい規模ながら5位にランクイン。ネーミングのインパクトだけでなく各種プロモーションで効率・効果的に認知が上がった例と言えます。
「タイタニック3D」をのぞいて邦画ばかりですが、洋画では次点の11位に「メン・イン・ブラック3」が入っています。
原作もの・シリーズものの認知が高いのは当たり前ですが、宣伝の醍醐味とは条件にかかわらず認知度を上げること。ということであれば、その「上昇幅」も気になります。
以下は、上昇幅ランキングです。

公開一週前から公開週までの認知度上昇幅トップ10

ランク 作品名 配給会社 上昇pt数
1 ロボジー 東宝 22
2 アフロ田中 ショウゲート 19
3 のぼうの城 東宝/アスミック・エース 19
4 LOVE まさお君が行く! 松竹 16
5 ももへの手紙 角川書店 16
6 おおかみこどもの雨と雪 東宝 16
7 桐島、部活やめるってよ ショウゲート 15
8 ポテチ ショウゲート 15
9 推理作家ポー 最期の5日間 ディズニー 15
10 僕等がいた 東宝/アスミック・エース 15

1月に公開された「ロボジー」はオリジナルながらテレビの番組紹介が功を奏して爆発的な認知度上昇。前週認知率35%から22ポイントのびっくりジャンプを果たして57%まで上がりました。
「そりゃあキャストがテレビ番組にたくさん出演する邦画が有利よね」という意見が出るのも無理もありません。そうであれば、むしろ認知している中でどのくらいの人が意欲を持ったのかということも大事な指標。認知は、テレビCM枠を買うなり、キャストが番組出演するなど、露出を増やせば高めることができますが、認知している人がどのくらい見ようという意欲を持っているかという、意欲/認知率は、作品の訴求力、知恵を絞った露出と話題性であげるしかないわけですが、【公開週での意欲/認知率トップ10】は以下の通りです。

公開週での意欲/認知率トップ10

ランク 作品名 配給会社 意欲/認知率
1 ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル パラマウント 15
2 踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 東宝 15
3 ダークナイト ライジング ワーナー 13
4 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q カラー/ティ・ジョイ 12
5 ヘルプ ~心がつなぐストーリー~ ディズニー 12
6 BRAVE HEARTS 海猿 東宝 12
7 TIME/タイム 20世紀フォックス 12
8 SPEC~天~ 東宝 12
9 テルマエ・ロマエ 東宝 11
10 シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム ワーナー 11

まず、テレビ番組紹介で露出をなかなか稼げない洋画が上位にランクインしてきました。また、コアファンをつかんだ「ヱヴァンゲリヲン」や、驚くスマッシュヒットとなった「テルマエ・ロマエ」も入っています。今年前半の洋画の業界びっくりヒット「TIME/タイム」も認知よりも、むしろその中の意欲/認知率の高さが際立っています。
なるほど。でもP&Aに大きな予算を持つ大作はやっぱり有利。ということで改めて100スクリーン未満の中・小規模公開作品に絞って認知度ランキングを見てみました。

公開週での認知率トップ10(100スクリーン未満公開作品限定)

ランク 作品名 配給会社 認知率
1 アフロ田中 ショウゲート 52
2 マリリン 7日間の恋 角川書店 43
3 きみはペット 東宝東和 39
4 苦役列車 東映 35
5 月光ノ仮面 角川書店 33
6 しあわせのパン アスミック・エース 32
7 クロサワ映画2011 ~笑いにできない恋がある~ ファントム・フィルム 29
8 キツツキと雨 角川書店 29
9 ポテチ ショウゲート 28
10 ヒミズ GAGA 27

100スクリーン未満でも全国規模で公開される作品と比べても高めの認知率を達成した作品がいくつもあることが分かります。なお、100スクリーン未満でも10億を越えるスマッシュヒットとなった「最強のふたり」は認知率21%ですが意欲/認知度が高めの8.9%でした。
去年も分析レポートしたように、年々、作品ごとの認知度は下がっています。100スクリーン以上で公開された作品の公開週の平均認知率は2009年54%から2010年51%、2011年47%と下降気味で、今年は46%とまた更に微減です。(昨年の分析とは集計期間が異なるため数字が異なりますが傾向は同じです。)

結局ヒットにつながる認知率はどう考えたらいいのか、新年以降も引き続き考えていきたいと思います。

あわせてご覧ください

(1)年間興行収入ランキングを読み返す
(2)宣伝露出量(テレビ・劇場予告編)ランキング
(4)ネットでの話題度(ネットニュース・ブログ・検索数)
(5)facebookでのいいね!数ランキング

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