映画館で映画を観るということはどういうことか(2)


先週は、人々にとって「映画館で映画を見るということはどういうことか」に迫る「GEM映画白書2015」の中から、個々の作品を見た人は<普段からどのような映画の見方をしている人が多かったのか、あるいは、少なかったのか>を『アナと雪の女王』を映画館で観た人を例に分析した。

今週は、人々が「映画を観ること」をどのようなこととして位置づけているのか、生活における”映画鑑賞の位置づけ”に関する分析をピックアップしたい。

映画を見ることの位置づけ 映画館 VS 映画館以外

以下の図は、映画館での映画鑑賞参加人口(過去一年間に映画館で一本以上映画を見た人)に対して「映画を観ること」として当てはまるとした回答を集計した結果である。

「映画館で」映画を見ることと、「映画館以外で」映画を見ること、それぞれ分けて聴取した結果を集計し、それぞれのトップ3に色付けをした。また、傾向の差を示した。
(単位は% 100%=映画鑑賞参加人口 n=4602 2014年12月27日実施、全国に住む15歳から69歳を対象にしたインターネットアンケートより)

【図】映画を観ることの位置づけとして当てはまるもの(複数選択)

(クリックすると拡大画像が表示されます)

こうしてみると、映画館で映画をみるということは、「気分転換」「日常生活からの解放」「好奇心、知識・教養の向上」である。

映画館で観る場合と、映画館<以外>で観る場合を比較すると、「気分転換」が最も高いのは共通だが、相対的に「暇つぶし」と答える割合が高くなり、また一方で、「日常生活からの解放」が低くなっている。

同じ映画でも、映画館で観る場合は、「普段とは違う風景で、観たいと思っているものを観る」こととして位置付けられていることがわかる。

映画館で映画を観ることをどう位置付けているかは、年代によっても異なるのか

回答を年代別に集計すると、年代が上がるほど数値が高くなるのは、「気分転換」「日常生活からの解放」である。

逆に、年代が下がるほど高くなるのは、「暇つぶし」として選ぶ割合とともに、「周囲との共通の話題・付き合い」「周囲への情報発信<話題の提供>」「流行の確認」という周囲との共通の話題の手段として位置付ける割合である。

ほか、年代が下がるほど高くなるのは、男女とも「アイデア・想像力の源泉」、男性においては「新しい考え方・自分との出会い」など。

それぞれの映画を観た人はどのように映画を位置付けていたのか?

それぞれの映画を、映画館で観た人の中でどのように位置付けている人が多かったかを集計すると、年代別の映画のとらえ方の違いの傾向を反映している。
2014年に公開された作品(注1)につき、「気分転換」として映画を位置付けている人の割合が高かったのは以下の作品であり、シニア向けの作品も多く上位にランクインしている。

1. ふしぎな岬の物語
2. 超高速!参勤交代
3. 美女と野獣
4. バンクーバーの朝日
5. ゴーン・ガール
6. イントゥ・ザ・ストーム
7. X-MEN:フューチャー&パスト
8. ホビット 決戦のゆくえ
9. 舞妓はレディ
10. WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~

◆ ◆ ◆

一方、年代が下がる人ほど高くなった、映画を「周囲との共通の話題・付き合い」として位置付ける人が多かったのは、以下の作品の鑑賞者であった。特に若い女性に訴求した作品が多くみられる。

1. THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!
2. アオハライド
3. 好きっていいなよ。
4. ベイマックス
5. 美女と野獣
6. 近キョリ恋愛
7. WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~
8. ホットロード
9. カノジョは嘘を愛しすぎてる
10. 劇場版 仮面ライダー鎧武/烈車戦隊トッキュウジャー THE MOVIE

◆ ◆ ◆

その映画をどう位置付けられるかはその作品次第ではある。しかし、ある属性をターゲットとした時、その人が普段から映画を観ることをどう位置付けているかという点と、その映画がどのような映画なのかということとが、どう重なっているかを検証・確認することも有効と考える。

(注1)調査対象作品の抽出条件は、2013年12月~2014年12月公開作品のうち、最終興収4.5億円以上、または初週土日興収1.3億円以上の条件に当てはまる99作品(例外として『チョコレートドーナツ』を含む)

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