テレビ局別の映画宣伝量と自社出資作品の割合


執筆:梅津

本コラムは「テレビでの映画宣伝と興行収入:邦画VS洋画」の続きです。

ここでは、局別の傾向の違いを、
◆【映画宣伝露出量と邦画・洋画の割合】
◆【邦画作品での自社出資作品の割合】
という観点から見ていきます。

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◆【映画宣伝露出量と邦画・洋画の割合】

以下の図1は、2012年公開された映画に関するテレビCM、テレビ番組の量(2011年12月から2012年11月末までの一年間に公開された映画の、公開12週前から公開週までの露出量)と各局の年間平均視聴率(2011年、関東地区、週平均、6-24時:2013年情報メディア白書より)を局別に並べたものです。

左側がテレビCM、右側がテレビ番組内での露出量です。

<図1>
<テレビ局別の映画関連露出量と視聴率>

1

(2011年12月から2012年11月末までの一年間に公開された映画の、公開12週前から公開週までの露出量の集計を分析したもの)

各局の総量は、局別の平均視聴率の高低も影響していますが、どちらかというと、映画というものの位置づけが大きく異なるようです。

映画関連のテレビCM、番組内露出量は日本テレビが圧倒的に多いです。また、日本テレビ、フジテレビは視聴率はほぼ同じなのですが、映画関連のテレビCM、番組内露出とも日本テレビが露出量が多く、テレビCMは倍近く、番組内露出も1.3倍程度です。

映画と言えばフジテレビというイメージが強い方もいらっしゃると思いますが、それは製作者として「踊る大捜査線」などのブランドイメージがあるからでしょう。「映画の宣伝」という意味では日本テレビが圧倒的です。

また、前のコラムでは、テレビCMは洋画、番組内露出は邦画、ということを書きましたが、局別にその傾向は同じようです。

以下は、図1の局別の露出量の邦画、洋画の構成比を示しています。左側が、テレビCM、右側が番組内露出です。赤が邦画、青が洋画です。

<図2>
<映画関連のテレビ露出の邦画・洋画シェア>

2

(2011年12月から2012年11月末までの一年間に公開された映画の、公開12週前から公開週までの露出量の集計を分析したもの)

多少ばらつきはありますが、おおむね、映画関連テレビCMに占める洋画の割合は6割前後、映画関連テレビ番組露出に占める邦画の割合は7、8割です。

上記のことから、各局は量は多いけれど、邦画、洋画の扱い方はほぼ同じといっていいと思います。

◆【邦画作品での自社出資作品の割合】

邦画に関してもう少し深く分析していきます。

各局は映画の宣伝媒体としての役割だけでなく、製作事業体に出資も行っています。
各局の自社出資作品関連の露出が全体に占める割合はどのぐらいなのでしょうか?

以下の図3は、邦画に関するテレビCMとテレビ番組だけを集計し、その中で、各局の「自社出資作品関連」の占める割合(紫の箇所)です。

<図3>
各局の邦画関連露出と自社出資作品の割合

3

(2011年12月から2012年11月末までの一年間に公開された映画の、公開12週前から公開週までの露出量の集計を分析したもの)

自局が出資する作品を多く扱っているのは、どの局も同じです。その割合をみると、テレビCMはおおむね6割、テレビ番組内露出はおおむね4割です。

ほかの委員会出資メンバーと同じように、テレビ局も自社が持つ媒体で宣伝展開をしているということです。出資しているぐらいですから、その作品の持つ訴求力を信じていて、「世間で話題となるものをメディアとして押し出していっている」という言い方もできるでしょう。

残りの半分の自社作品以外のところはどうなっているのでしょうか?

他局の出資作品のこともあるし、どこも出資を受けてない場合もあります。
テレビ局が出資した映画は2012年11月末までの一年間で公開映画の中では60本余りです。各局は毎年だいたい10本ぐらい出資していますから各局にとって「他局出資映画」はだいたい50本です。また、2012年に公開された邦画は500本ほどです(映連統計より)。これらの「自社出資作品でない」作品が残りの半分の露出の中で取り合いをしています。

いずれにしても、出資局以外の局での露出を狙う場合、あるいは、局の出資を受けていない場合、狙える番組露出のパイは限定的です。

◆【考察:ハンデはハンデとして、それを覆した例が気になります】

映画の宣伝露出に関して、テレビ局別に傾向をみると、量では大きく違いがありましたが、邦画・洋画の扱い方、自社出資作品とそうでないものの扱い方にはあまり違いがないようです。視聴率と映画をどう位置付けるかという方針は異なりますが、その中の内訳についてはポリシーに大きな差はないということなのでしょう。そういうわけで、洋画が番組内露出が出にくい、邦画は出資を受けてない局での露出は難しいというハンデは変わりません。

そもそも、ヒットを保証する訳ではないけれど、認知率を上げることは大事で、そのためにはテレビの露出は現状最も重要な手段です。したがって、一般論としてのハンデを覆して成功した例が気になります。

1)「洋画は、番組内露出が邦画に比べるとどこ局でも少なめ。」
→では逆に、洋画でも、番組内露出が多かったものは?

2)「邦画は、ある局から出資を受けるとその局では露出しやすいが、他局で露出が少なめになりがち」
→では逆に、邦画で、局の出資を受けても、他局でもたくさん露出があったあるいは出資がなくてもたくさん露出があったものは?

これらについて、次のコラムでそれぞれみていきます。

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▼本コラムの前篇となるコラムも公開中です▼

【テレビでの映画宣伝と興行収入:邦画VS洋画】

2012年間統計でも「邦高洋低」という結果が出ています。
その要因は様々として、映画宣伝、特に大きな予算が投下されるテレビにおいて洋画と邦画はどのように異なるのか?テレビ露出量と興行収入の関係は?これらの点につき、分析したコラムをアップしました。

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