首都圏・太平洋側を中心に2月8日、2月14日から15日にかけてと、二週連続で記録的な大雪が降り、様々な影響が出た。映画興行も、2月8・9日の土日の動員では前週比で落ち込みが目立った。
見たい映画があるのに通常の度合を超える悪天候となった時、どういう行動をとるかは人それぞれだろう。しかし、映画鑑賞者全体でみるとどのような傾向がみられるのか。この現象の構造を今回の大雪が降った週末の興行結果と先週末実施したアンケートをもとに考えたい。
◆興行収入は大雪週末大きく落ち込み:対前週比は通常70%のところ45%まで低下◆
通常、興行収入は前週からおおむね-30%、つまり対前週比70%だが、大雪が降った2月8・9日は作品によってはばらつきはもちろんあるものの、前週からおしなべて-55%、対前週比45%となったという。
◆「雪が降り足元が悪いと外出を控える」割合は約65%◆
一方、2014年2月22日に実施した映画鑑賞者(過去一年間に一本以上映画館で映画を見た人)に向けたアンケートの結果(サンプル数3099、対象者は全国に住む男女15歳から69歳)では、「雪が降り、足元が悪いと外出を控える方」であることが「当てはまる」あるいは「どちらかという当てはまる」と答えた人を足し上げると65%程度となった。
つまり、雪によって外出を控える人が出現して、非常に影響が大きい場合(「どちらかというと当てはまる」人も外出を控える場合)、通常動員比35%となる影響が出うると考えられる。
◆今回の事象の構造を推計する◆
まず、前週の動員を100とすると、通常は、
100 × 70% =当該週の動員 70
となる。
上記アンケート結果を踏まえて、大雪のときは、
100 × 70% (通常時の落ち率) × 35% (雪の影響)=当該週の動員 25
となる。
今回は特に影響があった地域とそうでなかった地域があるので分けて考えると、大雪の影響があったと推定されるエリア(関東・中部に山梨・長野を加えたエリアの映画鑑賞者。全体に占める割合は52%程度)
52 × 70% × 35% = 13
大雪の影響がなかったと推定されるエリア(上位以外、全体に占める割合は48%程度)
48 × 70% = 34
上記合計で、前週の動員100に対して47(=14+34)。
この計算は2月8・9日の動員が前週比45%となった数値と大体近い。
今回は「都心では45年ぶりの大雪」という異例の事態だったので「どちらかといえば当てはまる」人もみな外出を控えたのではないか。
◆雪の影響は量次第で通常の35~70%がけ、女性が多めならば影響は強め◆
しかし、毎回ここまで雪が降るわけではなく、通常程度の場合は「どちらかといえば当てはまる」人は普段とる行動を変えない可能性が高い。
その場合は、大きく見ても、「当てはまる」と答える約33%程度が外出を控え、影響は通常時と比べて70%がけ程度であろう。
作品の性質によっても影響は異なるであろう。たとえば高いイベント性があった『IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』などは影響が小さかったようである。コアファンがいるコンテンツ、強い話題性など普段でも全体の意欲率に対して動員までの歩留まりがよい作品は影響を受けにくいであろう。
また、属性によっても影響は異なる。以下は本アンケート結果を性年代別に集計したものだが、20代以上の女性では特に外出を控える割合が高い。
以上から、雪の影響は、雪の度合によって通常と比べて35~70%程度となり、作品属性によっては影響が少なく、また潜在鑑賞者層に女性が多めの場合は少し影響が大きくなる、とみることができる。
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