(※2014年8月29日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載されたものです)
「ドラえもん」初の試みとなる3DCG版「STAND BY ME」が3週連続1位。公開20日で興行収入は50億円超。30億円台後半を維持する毎年春の2Dアニメ版をはるかに超えて、60億~70億円台も射程に入る勢い。
好調の理由は、大人“も”見にいったという点が大きい。公開前の調査でも、過去のドラえもんシリーズと比べて大人層の意欲度が高かった。
ジブリの『もののけ姫』や、ディズニー・ピクサーによる『モンスターズ・ユニバーシティ』『アナと雪の女王』など、興収100億円級のアニメは「大人も子供も」見ているものが多い。共通するのは、子供になじみやすいキャラクターとともに、大人を引きつける要素である、映像やストーリーの質の高さ▽製作者ブランドの訴求力▽話題性──のうち、複数がそろっていること。
「STAND BY ME」は子供を基礎票として押さえつつ、大人が懐かしくなるエピソードをちりばめて、泣けるストーリーで大人票の積み上げを追求した。質の高い3DCG映像も、日本アニメとしては斬新だったであろう。
幅広い支持を得て大ヒット中のさなかに、世界20カ国以上での上映決定が伝えられた。日本の国民的コンテンツが国境を越えて飛躍することにも期待がかかる。
(GEM Partners代表、梅津文)=毎月最終金曜日掲載
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毎日新聞: シネマの週末・データで読解 「大人も集めて大ヒット」 (毎日新聞2014年8月29日 東京夕刊)
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