客層異なる興行ランキングTOP2『ラブライブ!』『マッドマックス』

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(この記事は2015年6月26日付毎日新聞夕刊映画欄において掲載されたものです)
【シネマの週末・データで読解:週末興行成績(20、21日)】毎日新聞 2015年06月26日
1. (1) ラブライブ! The School Idol Movie(2週目)
2. (ー) マッドマックス 怒りのデス・ロード(1週目)
3. (2) 海街diary(2週目)
4. (3) トゥモローランド(3週目)
5. (4) 予告犯(3週目)
6. (ー) 愛を積むひと(1週目)
7. (ー) 呪怨(じゅおん) ―ザ・ファイナル―(1週目)
8. (5) 新宿スワン(4週目)
9. (ー) 攻殻機動隊 新劇場版(3週目)
10. (8) 映画 ビリギャル(8週目)

※()の数字は前週順位。興行通信社調べ

客層異なるトップ2

(C)2015 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

(C)2015 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

アイドルをテーマにした人気アニメ「ラブライブ!」が2週連続動員1位となった。続く「マッドマックス」は、シリーズの30年ぶりの新作となる洋画実写アクション映画で、興収ベースでは1位だった。イメージが異なるこの2作、客層も重なっていないのだろうか。
劇場公開映画の浸透度調査に基づき、両作品のいずれかの観客層(鑑賞意欲がある、または見た人)のうち、2作にまたがる観客層の割合は5.6%であった。同様に、それぞれの作品と他の作品の観客層の重なりを見ると、「ラブライブ」観客層は、アニメの「攻殻機動隊」(10.2%)を別とすれば、全般的に重なり度合いが低く、2~4%。
一方、「マッドマックス」観客層は、同じ洋画実写の「トゥモローランド」の9.6%を筆頭に、邦画実写「新宿スワン」8.9%など、「ラブライブ」よりもランキング内のほかの作品群と、より客層が重なっている。

(C)2015 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED(C)2015 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

(C)2015 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

「ラブライブ」は同時期公開作品とは別の市場から観客を動員し、「マッドマックス」は他の作品と同じ市場の中を勝ち抜いて観客を動員したという構図が見えてきた。新市場開拓も、市場内の競争も、全体の活性化につながるはずだ。バラエティーに富む大作の公開が続く夏興行でも、ダイナミックな動きを期待したい。

(梅津文・GEM Partners代表)=毎月最終金曜日掲載

◆掲載元◆
毎日新聞: シネマの週末・データで読解 「客層異なるトップ2」 (毎日新聞2015年6月26日 東京夕刊)

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